累計230万部突破(2022年10月現在)で2023年にはアニメ化も決定している大人気漫画「僕の心のヤバイやつ」の魅力を考察し見どころをまとめました。
極力ストーリーのネタバレはしないように情報をまとめていますが、記事の後半ではすこしネタバレな所もあるのでご注意ください。「僕ヤバ」に興味を持たれた方に少しでも魅力を伝えられたらと思います。
Contents
僕ヤバの魅力・見どころ5選
僕ヤバはよくある青春ラブコメマンガで、学校の教室・図書室・保健室・下校中などを舞台に主人公である市川京太郎(陰キャ・重度の厨二病)と山田安奈(陽キャ・美人で天然)の恋愛を見守っていく鉄板ストーリー。
私はこの作品に強い衝撃を受け「かつてこれほどまでに脳からヤバイ汁が漏れ出てしまうラブコメがあっただろうか…。」とまで思ってしまいました。
読んでいて暖かく幸せな気持ちになったり心が少し苦しくなったり、主人公たちを応援しながら時に彼らの言葉にハッとさせられ自分自身の気づきにもつながる素晴らしい作品です。その多くの魅力の中から、まずは特におすすめの見どころを5つご紹介
市川京太郎の心の成長
この作品の見どころ1つ目は、主人公である京太郎の心の成長です。
厨二病で陰キャの京太郎は傷つくことを恐れ過ぎて自分にも他人にも期待することをやめてしまい、ポジティブな結果や未来の可能性に目を向ける事ができない。
序盤では山田へ抱いている自分の恋心に気づくも、図書室で一緒になる山田とうまくコミュニケーションが取れずマゴマゴしたりそっけない態度をとってしまう。
3巻 位置No.55より
しかしストーリーが進み、図書室での事件・校外学習・クリスマス・バレンタインなど様々なイベントをクリアしていくことで「変わりたい」と願い、自分のネガティブな心の声と戦い成長していく。
7巻 位置No.46より
山田への強い想いで変わっていく京太郎。自分が傷ついたり周りからどう思われようとも山田のことを必死で考え行動する姿から心の成長が感じられる。
5巻 位置No.134より
京太郎の心理5つの表現方法
見どころ2つ目は、京太郎の心理を緻密に表現している5つのマンガ的表現です。
1. 表情(感情やそれを隠す様子)& 2. セリフ(対外的なメッセージ)
2巻 位置No.21より
3. 心の声(思っている考えていること)
6巻 位置No.144より
4. 濁川くん(京太郎の中の別人格の声)
4巻 位置No.57より
5. ルシファー濁川(京太郎の中の本能の声)
7巻 位置No.86より
表情とセリフと心の声そして行動がちぐはぐで自分でもよくわからない思春期の複雑な心理を、上記表現方法の組み合わせで見事に描いています。
京太郎の心の声や葛藤は自分にも当てはまるところがあったり、読んでいてたくさんの気づきをもらえますので人間心理に興味がある方にもおすすめです。
山田安奈のヤバさ(可愛さ)
見どころ3つ目は、ヒロイン山田安奈の美しい外見からは想像がつきにくい食べ物への並々ならぬ執着心と天然な可愛さです。
友人宅でかくれて菓子を食べる山田
1巻 位置No.91より
クリームでクリームをとろうとする山田
3巻 位置No.56より
ねるねるねるねをかくす山田
1巻 位置No.70より
小学校のアルバムで食べてる山田
5巻 位置No.58より
カラオケでずっと食べてる山田
7巻 位置No.10より
学校でも友人宅でもどこでも食べずにはいられない食いしん坊山田の、山田エピソードの数々も必見です。
伏線回収がスゴイ
2巻 位置No.116より
作中には様々な伏線やキーアイテムが登場します。物語自体は単話完結型なので続きを期待させて引っ張るようなことはありませんが、過去の場面を思い出して新しい気づきがあったり過去に登場したアイテムに別のつながりや新たな展開が広がっていきます。
京太郎の心理は詳細に描かれていますが、山田の心理は表情・セリフ・行動から読み取るしかないため読者の想像や解釈にゆだねられる部分もあります。その話を読んでいる時は気づかなかった山田の表情や行動の意味を、別の話からプロファイルして考えてみるという楽しみもあります。
脇役たちがクソ面白い
7巻 位置No.31より
特殊性癖をもつ神崎くん、ゲスでポジティブな勘違男の足立、無邪気にぶっこんでくる小林さん、優しいビッチの萌子、京太郎を心配するおねえなど脇役キャラたちとの掛け合いも面白く物語を盛り上げてくれる。思わずニヤけたり吹き出してしまうので公共交通機関で移動時の読書にはヤバイ奴に見られないようにご注意を。
最新7巻までのあらすじ(若干ネタバレ)
1巻 1話~15話
重度にこじらせた厨二病と歪んだ恋心から、美しく人気者でモデルとしても活躍している山田杏奈に密かな殺意(ヤバイやつ)を抱く市川京太郎。友達がいない京太郎とかくれて菓子を食べたい山田はお昼休みの図書室という空間を共有しお互いを知っていく。京太郎は明るく奔放で天然な山田の意外な面を発見して自らの恋心(ヤバイやつ)に気づく。
2巻 16話~30話
恋心を自覚した京太郎に降りかかる突然の自転車二人乗りやファストフード店での遭遇イベント、クラスメイトとのやりとりから彼氏がいないこともわかり京太郎の中でどんどん山田の存在が大きくなっていく。
校外学習で秋田書店(マンガの出版社)へ行くことになった京太郎と山田(+クラスメイト達)、初めて見るマンガの生原稿に目を輝かせる京太郎、帰りの満員エレベーターでの超接近戦、ハプニングで涙を流す山田への気遣いなど、少しずつ仲良くなり図書室や下校中に少し話すくらいの関係から「君色オクターブ」という山田おススメの恋愛マンガを借りるような仲に発展していく。
3巻 31話~44話
家族以外とほぼLINEをしたことがない京太郎にとっては一大事な女子とのLINE交換イベントが発生、しかしネガティブ過ぎて相手の気持ちに気づけない京太郎は殺意の目を向けられることになる。
三者面談のあと京太郎と母の何気ない会話を聞いてしまい顔を赤らめる山田、ヤバイものを見てしまい雨の中自転車を走らせる京太郎、風邪をひいて学校を休んだ京太郎を見舞いに来る山田など、二人の心と物理的な距離が一気に縮まってくる。
山田をどんどん好きになってしまうことを恐れて避けてしまう京太郎と、それに傷つき涙する山田。本当は好きで好きでたまらない山田が手に入らなかったり嫌われてしまった時に傷つくのを恐れている自分自身と向き合い始める。
4巻 45話~57話
やっとの思いでLINE交換もできて12月24日イブの舞台は渋谷へ
「君色オクターブ」の続きを貸す口実に誘った初デート(?)で、京太郎から「可愛い」と言ってもらいたい山田の奮闘や、京太郎の陰キャで自己肯定感が低いゆえのやらかしっぷりがもどかしい。
買い物中に突如 おねえ(京太郎の姉)と遭遇してしまい京太郎の口から自分でも思ってもみなかった意味深な言葉が飛び出す。
冬休みに入り京太郎は父の田舎である秋田へ帰るが腕を骨折するアクシデントに見舞われる。東京に戻ってさっそく会う約束をした山田に秋田土産を渡したいけど変に思われないだろうか?という不安、山田がクリスマスプレゼントに用意したけど渡せなかったマフラー、二人にとって大切な存在となる秋田けんたろうも登場。
5巻 58話~71話
クリスマス、秋田土産、初詣と重大イベントの数々をクリアし、もはや付き合う寸前かと思われる場面もあったが二人の関係性は変わらずゆっくりと少しずつ進んでいく。
しかし、いつも一人で孤独に本を読んでいた京太郎は山田との交流をきっかけに他のクラスメイトとのコミュニケーションも増えて、いつの間にかみんなに囲まれ話題の中心人物になるなど様々な変化が起きている。
骨折した京太郎を介助する山田、雪の日におそろいのキーホルダーを無くして必死に探す二人、冷え切った体を温めるために立ち寄った山田家でのハプニング、思わず山田を抱きしめてしまい自分でも驚く京太郎、山田父の初登場などお互いの両親とも面識が出来てきて、京太郎はいままでのネガティブな自分を乗り越え山田との交際を真剣に考える覚悟が固まっていく。
6巻 72話~85話
陰キャの京太郎にとってはこれまで縁のなかったバレンタイン、いつも以上に奇行が多く変な様子の山田は、チョコを渡したいけど気持ちが伝わる恐さとの葛藤でうまく渡せずそのまま下校してしまう。
これまでの京太郎の言葉から、どうすればギリではなく本命だと気づいてもらえるか考えて考えて悩む山田。LINEで呼び出した京太郎に想いは伝わるのか…。
京太郎に頑張っている自分を見てもらいたい山田が誘ったモデルの仕事見学。本気の大人たちに囲まれて真剣に仕事をする姿に尊敬と劣等感を感じてしまう京太郎。山田と並んで歩ける自分に「変わりたい」と強く思うようになる。
恋敵のナンパイ(南条先輩)もいる3年生卒業式で在校生代表としての役目を任される京太郎、大勢の人前で話すことに恐怖を感じる陰キャにとってあり得ない大役に奮闘する。
山田や先生からの信頼や応援を受け役目を果たそうとするが、準備していたものがハプニングで吹き飛んでしまう。最大のピンチに登場した濁川(イマジナリー京太郎)からのメッセージを受け取り京太郎の心の成長が加速していく。
7巻 86話~99話
山田がバスケ部の先輩たち(男バス含む)とカラオケ会に行くことや、ホワイトデーに神崎(クラスメイト)と買い物をしていたことを知り動揺する京太郎。想いが抑えきれず次々にヤバイ言動をしてしまう。
春休みに入り山田は映画の仕事で四国へ旅立つ。京太郎はインスタとTwitterで発見したヤバイ(熱狂的な)ファンの投稿からネガティブな心配をしてしまう。悲鳴と共に連絡が途絶えた山田を心配し、いてもたってもいられず更にヤバイ行動をとってしまう。
山田への想いに突き動かされ、傷つくことを恐れて何もしなかった京太郎はいつの間にか自分がどう思われようと積極的に行動する人へと成長していく。
そして現在連載中の物語は、進級によるクラス替え、体育祭で山田への想いをかけた京太郎の本気、何かが起こりそうな修学旅行へ・・・
僕ヤバはKindle読み放題で読める
Kindle Unlimitedの加入者なら僕の心のヤバイやつ1&2巻が無料で読めます(2022年10月現在)
個人的に好きな回と考察(ネタバレ)
私が個人的に好きな回と考察を紹介させてください。
ここからはかなりネタバレになるので、まだマンガを読んでいない方は要注意です。
5巻 58話:僕は頼りたい
骨折した京太郎は学校生活で誰かの介助が必要になるが、担任との会話で「(山田とは)仲良いとかじゃないんで・・・!!」と心にもないことを言い山田にも聞かれてしまう。
まずいことを言ってしまったことに後悔し、自分から山田に謝って「本当は一番頼りたいと思っている・・・」と素直な気持ちを伝えて仲直りする話です。
京太郎が頑張ってテンパりながらも山田に気持ちを伝えられて、すぐに仲直りできたので本当に良かったです!
3巻 43話:僕は山田が嫌い
京太郎は山田をどんどん好きになってしまうことに恐れて遠ざける行動をとってしまう。いつも会っていた図書室に来ない京太郎を呼び止め理由を聞こうとする山田の目からこぼれ落ちる涙を見て、京太郎は自分が傷つかないために(心の中で)都合良く山田を悪者にしていたことに気づき山田からのハグによって仲直りする話。
山田も山田で誤解を招いてしまうような行動をやらかしているという見方も出来ますが、京太郎の心理は自分にも当てはまるところが多くて自分もこんな風に人を遠ざけていたのかもしれないな・・・と心がチクリとします。
2巻 17話:僕は譲った
写真の顔を入れ替えて遊ぶスマホアプリを一緒にやろうと言ってくれた山田に、京太郎は本当は仲良くなりたいのに「いや・・・そういうのいいんで・・・」と冷たく断ってしまい、そんな自分に「くそが~」という心の声と共に悔しそうな表情を見せている。
山田にバスケットボールをぶつけてしまい謝ろうとしているクラスメイトの邪魔にならないように配慮しようとした思いやりと、素直になれない思春期のこじらせっぷりが混じってしまい山田を遠ざけるような言動をとってしまう話。
この時の山田は少し驚いた表情を見せ「そっかー」と何でもないような様子でスマホをいじりなおすが、仲良くなりたいのに冷たく断られて少し傷ついていたに違いないと思います。京太郎の痛々しい言動やちぐはぐな奮闘は、自分の心の奥で長く未消化だった思春期のヤバイものを浄化してくれる気がします。
3つの話から考察する京太郎の変化
この3つの話はそれぞれ好きな女子に素直になれない思春期男子(大人でもある)ゆえのやらかしですが、17話では軽くやらかしてそのまま挽回せず終わってしまいます。
43話の場合は山田からの「ごめん・・仲直りのハグ・・近いの嫌だったよね」という言葉に対し「嫌だなんて言ってない」と答えてハグして仲直りしますが、京太郎は受け身で自分の素直な気持ちは伝えてはいませんでした。
しかし58話の京太郎は自分から山田に声をかけて謝り素直な気持ちを伝えられています。ひとつ前の57話(4巻)でも山田の存在によって変われたことに下を向きながらも「ありがとう」と伝えていて、これまで自分の素直な気持ちを表現せず受け身だった京太郎は、山田に自分を知ってもらいたい。素直な気持ちを伝えたい。と思うように変化していきます。
5巻 位置No.10より
京太郎の成長や頑張っている姿をみて、わたし自身も周りの大切な人たちに素直な気持ちで関われているだろうかという内省を促されています。
まとめ:心理好きにもおすすめ
「僕の心のヤバイやつ」は読んでいて純粋に楽しめるクオリティが高い物語である事は間違いないので、ラブコメ好きだけでなく幅広い層のマンガ好きに本気でおすすめしたい作品です。
そしてここまでご紹介してきたように、僕ヤバの素晴らしい点として主人公の「心理描写や心の成長」を推したいと思っています。
私たちは大人になっても、素直に気持ちを伝えられなかったり保身に走ったり思春期の二人のような面を心の中に持っています。大切な相手のために自分のために、素直になろうともがく京太郎の姿に何かを感じる方が多いのではないでしょうか。
まだまだ続きそうな「僕ヤバ」次のエピソードも楽しみでなりません。