夢をかなえるゾウや自己啓発書の古典的名著に書かれてある内容について、感想や要約だけでなく、もっと深掘りした詳しい情報を得たい方のためにまとめました。
夢をかなえるゾウの要約と感想
「夢を変えるゾウ」は、様々な自己啓発書の教えを1冊にまとめて、対話形式の物語でわかりやすく学べるものです。内容自体は元ネタとなる自己啓発書に書かれていることと変わりませんが、特に強調されているのは「行動する」ことの重要性です。
様々な自己啓発書から価値ある情報を得ても、それを行動しなければ人生が成功することがないことを伝えている1冊です。
成功するために推奨される教えとして、例えば「感謝する」「相手の良いところを見つける」などがあり、これらは実際に役に立つ内容であると言えるでしょう。
これから自己啓発的なことを学びたい人にとって、幅広く効率的にわかりやすく学べるというメリットがあります。ただし、登場キャラクターのやり取りに面白さを感じる人と、そうでない人がいると思います。特にゾウの神様「ガネーシャ」の関西弁のおっさんというキャラ設定が、自分とは合わないと感じる人もいるでしょう。
わたし自身は過去に自己啓発を本格的に学んでいたので、本の内容からは特に学びとなるようなことはありませんでしたが、本の構成や伝え方が素晴らしいと思いました。この本を参考にして、将来的に面白い本を書けるようになりたいと思います。
この記事には「夢をかなえるゾウ」をより深く理解したい人に、その源流となるニューソートの情報や、自己啓発を学ぶうえで注意してほしい点をまとめました。
参考文献とニューソート
夢をかなえるゾウの参考文献の中には有名な自己啓発書がいくつも紹介されています。
- 思考は現実化する(ナポレオン・ヒル、きこ書房)
- 道は開ける(デール・カーネギー、創元社)
- 原因と結果の法則(ジェームズ・アレン、サンマーク出版)
この3つは特に古典的な名著と言われていますが、これらの元ネタになっているのがニューソートという思想です。
もしかしたら、他の参考文献にもニューソートが元になっているものがあるかもしれませんが、ネットで調べた範囲では上記の3つでした。ただ、この3つの本に影響を受けて書かれた自己啓発書もたくさんあるはずなので、ほとんどの元ネタはやはりニューソートになりそうな気がしています。
ニューソートに関しては、以前の記事にも詳しく書いているので参考にしてください。
ニューソートに影響を受けている日本の著名人
こちらの情報はウィキペディアからですが、ニューソートは日本でも大正時代から翻訳本が出版されていて、中村天風、谷口正春(生長の家の創始者)、稲森和夫(京セラの創業者)、船井幸雄(船井総研の創業者)などが影響を受けていると考えられています。
この中でも、自己啓発において特に重要な人物が中村天風(なかむらてんぷう)です。
彼は日本の自己啓発の元祖ともいえる人物で、思想家・ヨーガ行者・実業家・元帝国陸軍諜報員・玄洋社社員・孫文の友人であり中華民国最高顧問という肩書きを持っています。また、日本におけるニューエイジの先駆者とも考えられています。
中村天風に影響を受けた有名人として、東郷平八郎、松下幸之助、稲盛和夫などがいて、現在でも松岡修造や大谷翔平なども影響を受けているそうです。今でもその教えを紹介する書籍が出版されたりしていて、日本の自己啓発の古典として多くの人に学ばれ続けていると言えるでしょう。ちなみに、中村天風は1968年(昭和43年)に死去し、葬儀委員長は笹川良一(日本財団の創設者)が務めたそうです。
宗教において特に重要な人物は谷口正春(たにぐちまさはる)です。
彼はもともと大本教の出口王仁三郎のもとで働いていて「霊界物語」の口述筆記を任されたり、大本教の機関紙の編集をしていた人物で、ニューソートに「光明思想」という訳語をあてて、これを全世界に広めていくために生長の家を設立したそうです。
ニューソートは現世利益を重要視
ニューソートは、19世紀後半にアメリカで始まった宗教・霊性運動で、現世利益を重要視しています。
この運動は、心や思考の力が健康や経済状態に直接影響を与えると考え、ポジティブな思考や信念を通じて現実を変えることを目指します。ニューソートの信者は、個人の幸福、健康、物質的成功を追求し、これらを神の恩恵と見なします。
この運動は、禁欲主義的なカルヴァン主義への反発として生まれ、楽観主義と人間の無限の可能性を強調しています。そのため、ニューソートは現世での成功や繁栄を積極的に追求することを奨励しています。
ニューソートの教えは、以下のような特徴があります。
- 思考の力:思考が現実を創造するという考え方を中心に据え、ポジティブな思考がポジティブな現実を引き寄せると信じられています。
- 潜在意識の活用:潜在意識にポジティブなメッセージを送り込むことで、健康や成功を引き寄せることができるとされています。
- 自己啓発と自己改善:個人の成長と発展を促進し、自己の内なる力を引き出すことを重視します。
- 健康と癒し:心と体の健康が密接に関連していると考え、ポジティブな思考と信念が病気の治癒に役立つとされています。
- 宇宙との一体感:人間の意識が宇宙と繋がっていると考え、宇宙のエネルギーと調和することで望む現実を引き寄せるとされています。
ちなみに、聖書でキリストは「神と富とに仕えることはできない。」「金持ちが神の御国(天国)に入ることは、ラクダが針の穴を通るより難しい。」と伝えていますが、これは禁欲生活をしなければならないということではありません。神を愛することで、神からの祝福として富や名誉も含めて様々なものを与えられるように生きることが大切であるということだと思います。
なぜなら、神を愛したイスラエルのダビデ王は、神の助けによって戦争に勝ち続け、命を狙うものからも救われ、富や名誉も栄光も手に入れ、今でもこうしてその名が全世界で伝えられているからです。これらは全て神から与えられたものですので、聖書の神やキリストが富や名誉を得ること自体を否定しているということではありません。
ガネーシャは現世利益の神
ゾウの神様であるガネーシャは、ヒンドゥー教において現世利益をもたらす神として広く信仰されています。
ガネーシャは知恵と学問、富と繁栄、そして障害を取り除く力を持つとされ、新しい事業や学問の成功を祈願する際に崇拝されます。商売繁盛や学業成就、財運向上を願う人々からの信仰が厚く、インドの多くの店や家庭でガネーシャの像や絵が見られるそうです。
ガネーシャは象の頭を持つ独特の姿で親しまれ、慈悲深く親しみやすい神として描かれています。彼の存在は日常生活に深く根付いており、現世での成功や幸福を願う人々にとって重要な存在だといえるでしょう。
まとめ:自己啓発は現世利益の追求
「夢をかなえるゾウ」をきっかけに深掘りして調べていくと、その元ネタの自己啓発本も更にその源流であるニューソートも、ガネーシャというヒンドゥー教の神も、現世利益を追及しているものであることがわかりました。
わたしたち人間は、この現世で何かしらの利益を得ていかなければ、豊かに暮らしていくことはできません。お金がなければ家賃を払ったり食べ物を買えなくなってしまいますし、輝かしい名誉があれば人から軽んじられたりバカにされたりすることもなくなるかもしれません。
また「夢をかなえるゾウ」の主人公のように、セレブなパーティに行って有名人や成功者たちを見て、羨ましい気持ちを持つこともあるかもしれません。テレビやSNSでも、芸能人などが豪華な暮らしを見せつけるような情報を目にすることがあります。
それらを見て「変わりたい!自分も成功したい。」と言う気持ちが湧いてくるのも自然なことでしょう。そのような人が自己啓発に興味を持つことも素晴らしいと思います。
ただし、最後に注意点としてお伝えしておきたいことが一つあります。
それは、自己啓発セミナーにリアルで参加する際に気を付けるべきことです。わたしは過去に自己啓発セミナーや100万円以上の高額な講座などにも通っていたので実体験から得た教訓です。高額なセミナーの内容や演出には気分が高揚してハイになる仕掛けがたくさん用意されているものもあります。いつもよりもオープンな気持ちになり、学びを深く吸収出来たり、他の参加者などとも交流して、楽しい時間を過ごすことができるというメリットもあるでしょう。
しかし、何十人、何百人と参加者がいる自己啓発セミナーの場に行くと、怪しい人物も混じっているので注意が必要です。自己啓発を学んで自分を高めたりもっと成長しようということよりも、欲ばかりが肥大してしまっていて、極端な話、人を騙してでもお金や何かしらの利益を奪い取ろうと考えている詐欺師のような輩もいます。騙されないようにくれぐれも注意してください。
そのような人は現世利益ばかりに目がいってしまい、もっと大切な人としての誠実さや愛や真理を求める心を失ってしまった人たちです。自己啓発にはそのような面もあるので気を付けてくださいね。
こちらもお読みいただくと更に理解が深まります。