ナポレオン・ヒルの「思考は現実化する」を読み進めながら、調べものをしていると様々なことがわかってきて面白くなってきました。今回は「ニューソート」という一般的には聞きなれない思想を紹介いたします。
KEI
ニューソートとは何か
まず、ニューソートという思想はどのようなものなのかを紹介いたします。
ニューソート(New Thought)は、19世紀後半にアメリカで始まった宗教・霊性運動です。この思想は、思考や意識が現実を創造するという考え方を中心に据えています。ニューソートは、ポジティブな思考や意識の変化が健康、幸福、成功をもたらすと信じています。
キリスト教プロテスタントに対する反発として生まれたとされていて、個人の幸福や物質的成功に焦点を当てた楽観的な世界観を持っています。
ニューソートの特徴的な教えを5つ紹介します。
- 思考の力:
ニューソートは「思考は現実を創造する」という考え方を中心に据えています。ポジティブな思考が現実にポジティブな変化をもたらすと信じられています。 - 潜在意識の活用:
潜在意識の力を利用して、健康や成功を引き寄せることができるとされています。潜在意識にポジティブなメッセージを送り込むことで、望む結果を得ることができると考えられています。 - 自己啓発と自己改善:
ニューソートは自己啓発と自己改善を重視し、個人の成長と発展を促進します。自己の内なる力を引き出すことで、人生をより良くすることができるとされています。 - 健康と癒し:
ニューソートは心と体の健康が密接に関連していると考え、精神的な健康が身体的な健康に影響を与えると信じています。ポジティブな思考と信念が病気の治癒に役立つとされています。 - 宇宙との一体感:
ニューソートは人間の意識が宇宙と繋がっていると考えています。個々の意識が宇宙のエネルギーと調和することで、望む現実を引き寄せることができるとされています。
いかがでしょうか。わたしはまだ「思考は現実化する」の内容の全ては読めていませんが、1~3に関しては完全に同じことを教えています。
アメリカの自己啓発はニューソートだらけ
ニューソートに影響を受けている、アメリカの自己啓発を調べていくと有名どころの名前がどんどん出てきました。これを見ても、ニューソートはアメリカの自己啓発の源流と言っても差し支えないのではと思います。
- ナポレオン・ヒル
ナポレオン・ヒルの著作『思考は現実化する』(Think and Grow Rich)は、ニューソートの「思考は現実を創造する」という理念に基づいています。彼はポジティブな思考と明確な目標設定が成功を引き寄せると主張しました。 - デール・カーネギー
デール・カーネギーの『人を動かす』(How to Win Friends and Influence People)は、ポジティブな人間関係の構築を通じて成功を収める方法を説いており、ニューソートの影響が見られます。 - スティーブン・R・コヴィー
スティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』(The 7 Habits of Highly Effective People)は、自己啓発とリーダーシップの分野で非常に影響力のある著作で、ニューソートの影響を受けています。彼は個人の内面的な変革とポジティブな習慣の重要性を強調しています。 - トニー・ロビンズ(アンソニー・ロビンズ)
トニー・ロビンズは、自己啓発とモチベーションの分野で著名なスピーカーであり、彼の著作やセミナーはニューソートの理念を反映しています。特に『Unlimited Power』や『Awaken the Giant Within』は、思考の力と自己改善の重要性を説いています。 - ジョセフ・マーフィー
ジョセフ・マーフィーの『マーフィーの成功法則』(The Power of Your Subconscious Mind)は、潜在意識の力を活用して人生を改善する方法を紹介しており、ニューソートの教えを反映しています。 - ロンダ・バーン
ロンダ・バーンの『ザ・シークレット』(The Secret)は、ニューソートの「引き寄せの法則」を広く紹介した著作で、思考が現実を創造するという理念を強調しています。 - ブライアン・トレーシー
ブライアン・トレーシーの著作もニューソートの影響を受けており、特に『Eat That Frog!』や『Goals!』などは、目標設定とポジティブな思考の重要性を強調しています。 - ルイーズ・ヘイ
- ウェイン・ダイアー
- ノーマン・ヴィンセント・ピール
- アール・ナイチンゲール
- ジム・ローン
- ジョン・C・マクスウェル
- ジャック・キャンフィールド
- ブレンダン・バーチャード
キリスト教プロテスタントとは何か
ニューソートは、キリスト教プロテスタントに対する反発として生まれたとされているので、より理解を深めるために、キリスト教プロテスタントについても紹介します。
キリスト教プロテスタントは、マルティン・ルターが起こした宗教改革を契機に、腐敗が激しかったカトリック教会から分離したキリスト教の一派です。ルターやジャン・カルヴァンなどの改革者たちが、教会の腐敗や教義の問題に抗議し、聖書の教えに基づく信仰を重視しました。プロテスタントは「聖書のみ」「信仰のみ」「恵みのみ」という三大原則を掲げ、個人の信仰と聖書の重要性を強調します。
カトリック教会の腐敗は下記のようなものです。
- 贖宥状(免罪符)の販売:
カトリック教会は財政難に陥り、サン・ピエトロ大聖堂の改築費用を賄うために贖宥状を販売しました。これは「これを買えば罪が赦される」というもので、多くの信者からお金を集める手段として利用されました。 - 聖職売買:
聖職者の地位が金銭で売買されることも一般的でした。これにより、教会の高位聖職者が必ずしも信仰心や道徳的な資質を持っているわけではなくなり、教会の権威が低下しました。 - 聖職者の堕落:
多くの聖職者が結婚し、妻や子供を持つことが禁じられていたにもかかわらず、これを破る者が多くいました。また、贅沢な生活を送り、教会の資金を私的に流用することもありました。 - 教会の政治介入:
教会が政治に深く関与し、世俗的な権力を追求するようになったことも腐敗の一因です。これにより、教会の本来の宗教的使命が歪められました。
これらの問題が積み重なり、マルティン・ルターや他の改革者たちが教会の改革を求める声を上げるきっかけとなりました。
キリストの言葉とニューソートの関係
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どんなしもべも二人の主人に仕えることはできません。一方を憎んで他方を愛することになるか、一方を重んじて他方を軽んじることになります。あなたがたは、神と富とに仕えることはできません。」
金銭を好むパリサイ人たちは、これらすべてを聞いて、イエスをあざ笑っていた。
イエスは彼らに言われた。「あなたがたは、人々の前で自分を正しいとするが、神はあなたがたの心をご存じです。人々の間で尊ばれるものは、神の前では忌み嫌われるものなのです。
(新約聖書 ルカの福音書16章-13から15より)
つまり、腐敗したカトリック教会は、イエス・キリストや聖書の教えを守っておらず、神よりも富に仕えてしまっていたということですね。
そして、プロテスタントは腐敗したカトリック教会への反発として生まれたものなので、そのプロテスタントに反発するものとして生まれた「ニューソート思想」はカトリック教会と同じか近い考え、ようするに反キリスト的なものであると予想できます。
「思考は現実化する」の本も、願望を諦めずに達成しようというのが主旨で、どこまでも富や名誉を求めていくことを推奨しているので、結局は物欲・金銭欲・名誉欲を肥大させていってしまうものであります。
そして、どこまでも欲にまみれた人と一緒にいても、心に安心感や幸福感を感じることはできないでしょう。
まとめ:自己啓発の教えの注意点
以上のように、日本で2010年代あたりに大流行したアメリカ発の自己啓発の源流は「ニューソート」であり、その流れは神に仕えることよりも富に仕えることを優先して腐敗したカトリック教会にまでさかのぼることができます。
日本人のほとんどは聖書を読んだことがないので、ピンと来ないかもしれませんが、自己啓発(ニューソート)の教えは反聖書の教えでもあるので、内容を吟味していかなければ危険です。
今後も「思考は現実化する」を読み進めながら、わかってきたことを紹介していきますのでお楽しみに!
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