プレゼン資料を作成するには、論理的で明快な情報伝達と視覚的な魅力が欠かせません。しかし、どのように始めれば良いのか、何を重視すべきなのか迷ってしまうこともあるでしょう。
本ブログでは、プレゼン資料作成の基本的な手順からデザインのコツ、構成のポイントまで、全体像を網羅的に解説します。プレゼン資料作成に自信を持ち、聴衆を魅了するためのノウハウを身につけましょう。
悩むビジネスマン
KEI
・重要なポイントや注意点がおさえられる
・構成やデザインの基本がわかる
Contents
第1章:プレゼン資料のサンプル
シンプルなデザインのプレゼン資料
シンプルなデザインのプレゼン資料を作成する際に意識すべき点は以下の通りです。
- 情報の整理と重要なメッセージの絞り込みを行い、余分な要素を排除します。
- 適切なフォントとサイズを選び、一貫性を保ちながら視認性を確保します。
- 余白の活用や適度なグラフィックの使用により視覚的なバランスを整えます。
- 重要な情報を強調するために色やアクセントを適切に使い、クリーンなレイアウトを実現します。
プレゼンテーションの目的と魅力を最大限に引き出すために、シンプルで効果的なデザインを心がけましょう。
おしゃれなデザインのプレゼン資料
オシャレなデザインのプレゼン資料を作成する際に意識すべき点は以下の通りです。
- 統一感のある配色とフォントを選び、洗練された印象を与えます。
- オシャレなビジュアル素材を活用し、視覚的な魅力を高めます。
- 余白を意識してスッキリとしたレイアウトで、重要な要素を引き立たせます。
- 表紙やトップスライドにこだわり、プレゼンの第一印象を高めます。
- クリーンでモダンなデザインを取り入れ、プレゼンを印象的に演出します。
オシャレなデザインのプレゼン資料は、聴き手にプロフェッショナルな印象や世界観を伝えます。プレゼンの魅力を向上し成功への可能性を高めましょう。
他にも、プレゼン資料やスライドのサンプル(例)を見たい方は
こちらの記事もご覧ください。
プレゼン資料・企画書のサンプル:ビフォーアフター例と作り方・テンプレート情報
第2章:事例とテンプレートのサイト情報
slideshareというサイトでは、有名企業が作成したものも含めて様々なプレゼンスライドが公開されていて、誰でも見ることができます。
デザインや構成の参考にもなるのでぜひ一度覗いてみてください。
Canva(プレゼン資料のテンプレート)
Canvaはプレゼン資料のテンプレートだけでなく、チラシやポスター、SNS投稿用の画像など様々なデザインが、ブラウザ上やアプリで制作できる便利なサービスで、テンプレートを探している方へ最もおすすめのサイトです。
他にも、テンプレートを探したい方は
こちらの記事もご覧ください。
プレゼン資料・企画書のテンプレートサイト34選【パワーポイントデザイン雛形】
第3章:プレゼン資料作成の手順と要点
プレゼン資料作成の7ステップ
プレゼン資料を効率的に作成するための手順を、7つのステップに分けて解説します。
以上の手順をふまえて、プレゼン資料を効率的に作っていきましょう。
心をつかむ良いプレゼン資料とは?
プレゼンの主な目的は「聴き手の意思決定を促す」ことにあるでしょう。そのためには、聴き手の立場に立って必要な情報や説明を提供することが重要です。
例えば、「このサービスを買ってください」「私の報酬をアップしてください」と伝える場合、相手は「なぜ?」と疑問を抱くことでしょう。そのため、主張に対する根拠が必要ですし、提示した根拠に対しても「その根拠は本当なのか?」と疑問を持つこともあります。
したがって、納得感を得るためには、「根拠(理由)」が納得できるものであり、さらにその根拠を支える「証拠や事実」が非常に重要です。
相手の心をつかむプレゼン資料を作成するためのポイントは以下の通りです。
- 伝えたい相手(聴き手)を理解する
- 主張・伝えたいことを明確に表現する
- 主張を裏付ける根拠を用意する
- 資料はわかりやすくシンプルに作る
プレゼン資料作成時には、つい伝えたいことを詰め込みがちですが、重要なのは適切な「ゴール設定を行い、聴き手の立場に立って相手が欲しい情報を提示しながら分かりやすく伝える」ということです。
前提となる主張の組み立てや問題提起のスキル
プレゼン資料を作成する上で前提となる2つのスキルがあります。
まず、聴き手(聴衆)を理解するスキルが重要です。相手の背景やニーズを把握し、彼らが求める情報や解決すべき問題を把握することがポイントです。
さらに、ロジカルシンキングのスキルも必要です。主張や問題提起を論理的に組み立て、説得力のあるプレゼン資料を作成することが求められます。
これらのスキルを磨きながら、プレゼン資料作成に取り組んでいきましょう。
第4章:プレゼン資料はキーメッセージが重要
キーメッセージとは
キーメッセージとは、プレゼンテーションで一番伝えたいメッセージのことです。キーメッセージがなければ、何が言いたいのかわからない中途半端なプレゼンになってしまいます。
例えば、AIチャットボットの「chatGPT」をプレゼンする場合を考えてみましょう。ユーザーにとって一番重要な要素は、「自然で流暢な会話」と「高度な情報処理能力」です。
しかし、以下のように多くのことを説明しようとしても、聞いている人は混乱してしまいます。
「chatGPTは多言語に対応しています」
「実は他のAIと比べて学習データの量が多いんです」
もちろん、そのような機能やデータの説明も必要ですが、それらはキーメッセージを引き立てる補助的な要素に過ぎません。
一番重要なメッセージが、あなたのプレゼンの「キーメッセージ」となります。そのキーメッセージを明確にし、プレゼン全体をそのメッセージに絞り込むことが大切です。
キーメッセージは読ませない
キーメッセージは読ませるものではなく、見せるものです。
文字を1字1字読ませて意味を理解させるのではなく、一瞬で意味が頭に入るようにするために、文字数を減らすことが重要です。
人間が一度に知覚できる文字数は、少ない人で9文字、多い人で13文字と言われています。キーメッセージは文章を書くというよりもパッと見で目を引くキャッチコピーやキャッチフレーズのように作ると良いでしょう。
雑誌やニュース記事などの見出しを参考にするのもオススメです。
最重要な情報以外はカットする
キーメッセージを短い言葉で表現するためには、情報をカットすることが必要です。
例えば、chatGPTの場合、以下のような表現が考えられます。
【before】
自然言語処理AIモデルの生成において、深層学習技術を活用しています(27文字)
【after】
深層学習でAIモデル生成(11文字)
この例では、「自然言語処理」と「活用しています」といった冗長な表現を省き、深層学習でAIモデルを生成していることを短くまとめました。
さらに、詳細な数字や付随的な要素をカットし、キーメッセージに絞ることが重要です。数字や専門用語は口頭で補足するか、詳細な情報を別の資料として用意することで十分です。
キーメッセージは簡潔かつ分かりやすく伝えることで、相手にインパクトを与えることができます。無駄な情報を省き、要点を絞って伝えましょう。
キーメッセージに必要な要素
キーメッセージには以下の要素を含めてください。
- 聴き手のメリット
- 明確な主張・伝えたいこと
- 自社の強み(他の選択肢より優れた部分)
プレゼン資料全体で一つと、各ページごとに一つずつキーメッセージを設定して、初めのページから終わりのページまで論理的に破綻なく、スムーズに流れていくように組み立てていきましょう。
1枚1メッセージが基本
1枚の資料に多くの情報を詰め込んでしまうと、何が重要な情報であるかが不明確になってしまい、聴き手(読み手)を混乱させてしまうことになります。
また、一度に多くの情報を渡しすぎると「情報過多」な状態になってしまい、受け取ってもらえなくなってしまう可能性もあります。
もっとも重要な一つのメッセージに絞れば、混乱やストレスがなく聴き手にしっかり伝わります。プレゼン資料1枚1枚の伝えたい事や役割を明確にして、重要度の低い情報は省き、ステップを分けて伝えていくようにするとよいでしょう。
第5章:プレゼン資料作りの注意点
誰でもわかる平易な言葉で伝える
プレゼン資料の作成や、実際のプレゼンテーションの場ではわかりやすい言葉を心がけましょう。
一般的ではない業界の専門用語や、聞きなれないカタカナや英語を沢山聞かされるだけで、聴き手はストレスを感じてしまうこともあります。基本的に誰にでもわかる言葉を選ぶように意識してください。
しかしながら、社内でのプレゼンなど聴き手が全て同じ業界の人で、専門用語を使った方がスムーズにコミュニケーションが取れて理解がしやすい場合であれば、専門用語を使ったほうが良いでしょう。
「大工と話す時は大工の言葉を使え」
という哲学者ソクラテスの名言をご存知でしょうか?
プレゼン資料作りにおいても、聴き手が特定の業界や専門分野に関わっている場合、その言葉や用語を理解しやすい形で伝えることが重要です。
プレゼンでは聴き手の共感や理解を得るために、彼らが身近な言葉で話しかけることが効果的です。ソクラテスの名言を念頭に置き、プレゼン資料作りにおいても聴衆との共通の言語を使い、効果的なコミュニケーションを図りましょう。
KISSの法則を意識してシンプルに
KISSの法則とは、「Keep it short and simple」の略で
つまり、言いたいことや伝えたいことは短くシンプルにまとめようという原則です。
簡潔で平易な言葉を使うことで、読み手や聴き手の理解を助けます。具体的には、「つまりどういうことか?」と自問自答することが重要です。
無駄な表現を削ぎ落とし、主張やメッセージの核となるキーワードを見つけ出しましょう。シンプルな言葉は覚えやすく、効果的に伝えることができます。
配布資料とスライドは全く別物
プレゼンテーション本番の時に、スクリーンに映したスライドと同じものを紙に印刷して配布しているケースをよく見ますが、これはあまり効果的ではありません。
なぜなら、スライドの場合は特にシンプルに言葉を絞ってデザインされていて、話し手とセットでプレゼンが成立している事がほとんどだからです。
話し手が不在で紙の資料だけが一人歩きした場合に、情報量が少なすぎて伝わらなくなる可能性が高いので、配布資料とスライドとは別に作成することをオススメします。
例えば、プレゼン時間が短い場合であれば、キーメッセージに絞ってスライドと話を構成して、根拠となる情報などは配布資料に詳しく掲載することで、少ない時間でも情報を補完することが出来ます。
第6章:プレゼン資料作成の準備
情報の整理・分析
プレゼン資料を作成するために、まずは今わかっている情報を整理しましょう。
提案する商品やサービスについての情報や、プレゼンの聴き手や顧客に関する情報、市場調査などで得ている情報、追加で調べる必要がありそうな情報など、どんどん書き出して整理しながらグループに分類していきます。
キッチンで料理を始める前に食材を並べるように、情報を目の前に並べてどのように使うか分類してください。
情報の整理分類にオススメの方法は、KJ法とマインドマップです。
ポストイットを使ったKJ法で情報を整理
伝えたい事や頭の中にある情報をポストイット(付箋紙)にどんどん書き出してください。一つの情報・アイデアに対して一つのポストイットを使い、可能な限り多くのアイデアを出します。
次に、情報・アイデアを何らかの共通点を持った似たもの同士でグループ分けします。そして、各グループに対して1つのテーマを決めます。その後テーマとテーマの関連性や、おおまかな流れを考えてください。
流れを組み立てながらポストイットの配置も柔軟に変えて、大量の情報を俯瞰していろいろと試しながら組み立てられるのがKJ法の良い所だと思います。
マインドマップで情報を整理
マインドマップも情報を俯瞰して関連性や流れを整理したり、アイデアの発想を拡げていくためにとても有効な手法です。
筆者の場合は基本的に手描きでマインドマップを作っていますが、様々なアプリが開発されていますのでパソコンやタブレットなどを使って作るのもおすすめです。アプリの場合は作業のやり直しや、テキストの移動や情報の分岐を後から何度でも容易に変更が出来ます。
聴き手目線でプレゼンを作る
プレゼン資料を作成する際に「誰に何を伝えるか」という視点を持つことが重要です。
あなたのプレゼンの聴き手はどんなニーズを持っていますか?
聴き手目線でプレゼンを構築することで、相手のニーズや関心を考慮し、効果的なメッセージを伝えることができます。
具体的には、聴き手が求めている情報や解決すべき課題、関心事を把握し、それに対して的確な内容を提供することが求められます。プレゼンテーションの目的を明確にし、聴き手にとって有益な情報や価値を提供することで、効果的なプレゼンテーションを実現します。
聴き手のメリットを伝える
プレゼン資料を作成する際には、聴き手のメリットを重視して伝えることが重要です。
聴き手が得られるメリットは何でしょうか?
聴き手は自分にとって何の利益や価値があるのかを知りたいと思っています。
そのため、プレゼンテーションでは、自社や製品・サービスの特徴や利点を明確に示すだけでなく、そこから聴き手が得られるメリットや解決できる課題を強調する必要があります。
すでにサービスを導入している企業の事例やお客様の声なども交えて、聴き手にとっての利点や付加価値を具体的に伝えることで、彼らの関心を引きつけ、共感を生み出すことができます。
説得力を高める心理メカニズム
「損失回避性」という心理メカニズムをプレゼン資料に活用することで、聴き手の関心を引きつけ、説得力を高めることができます。
聴き手が回避したい損失は何でしょうか?
具体的なリスクや損失を強調し、自社の提案やソリューションがそれらを回避することで得られる利点を明確に伝えることが重要です。
また、比較対象となる競合他社の不利益や失敗事例を提示することで、聴き手に自社の価値と選択の優位性を印象づけることができます。
聴き手が潜在的な損失を回避したいという心理的欲求を刺激することで、プレゼンの説得力を高めることができます。
説得力を高める心理メカニズムについて詳しい記事はこちら
プレゼン資料・スライド作成のコツはマーケティングと心理法則から学ぶ
構成を考えてから作成する
プレゼン資料の構成とは
- キーメッセージ
- ロジックの流れ
- ページ構成
のことを指します。これらの構成を最初に考えずに作業を始めると、ほとんどの場合、途中で作業が行き詰まります。
パソコン画面を見て文字を入力したり、グラフを作成したりしていると細かい作業に集中してしまい、全体像を見失いがちになります。そのような状態では、キーメッセージやロジックの流れ、ページ数など、プレゼンテーションの全体像を頭で組み立てる思考は困難です。
キーメッセージやロジックの流れが明確でないまま、何となく見栄えだけ良い資料を作っても、プレゼンが通る可能性は低いでしょう。
全体の構成をしっかり考えてから資料を作成してください。
第7章:プレゼン資料の構成
わかりやすいプレゼン資料の構成
プレゼン資料を作成する前に、プレゼン内容のロジックやストーリーを組み立てましょう。
そこで紹介するのが、PREP法というプレゼン構成の手法です。
PREP法は、Point(要点)、Reason(理由)、Example(具体例)、Point(要点)の頭文字を取り、これらの要素を組み合わせてプレゼン内容を構成します。まず、要点を明確に述べます。次に、その要点に至った理由や主張の理由を説明し、さらに具体的な事例やデータ、状況を挙げて理由を裏付けます。最後に再度要点を強調してまとめます。
例えば、「小学生がお母さんにゲーム機をねだるプレゼン」をPREP法で構成すると、以下のような形になります。
これは友人関係の構築や、学校生活など日々の生活にも役立ちます。
・共通の話題で仲良くなることが出来る
・勉強なども協力しあえる可能性が高まる
・クラスの00%の人がすでにゲーム機を買ってもらっている。
お母さん、ぼくにゲーム機を買ってください。
こんな小学生がいたらちょっと恐いですが(笑)、PREP法を活用することで、要点、理由、具体例、要点の順に論理的な展開を行い、説得力のあるプレゼンテーションを行うことができます。
プレゼン構成について詳しく知りたい方は
こちらの記事もご覧ください。
プレゼン資料・企画書・スライド構成の基本と7つのフレームワーク
社内プレゼン資料は9枚以内で構成
プレゼン資料作成のベストセラー書籍『社内プレゼンの資料作成術』によると、スライドを5〜9枚にまとめることを推奨しています。なぜなら、5〜9枚を超えるとプレゼン内容がわかりにくくなるからです。
この法則は、認知心理学者のジョージ・ミラーが提唱した「マジカル・ナンバー」に基づいています。ミラーは、人間が瞬間的に記憶できる情報量の限界は「7±2」であることを発見しました。電話番号のように情報を区切って表記するのは、この限界を超えないようにするためです。
社内プレゼンも同様で、スライドの数が「7±2」を超えると、決裁者が内容を理解することが難しくなります。そのため、スライドは5〜9枚でまとめることが基本中の基本です。
(『完全版 社内プレゼンの資料作成術』より一部を引用して編集しました)
目次と扉ページで情報を整理する
プレゼン資料の構成をわかりやすくするために、目次と扉ページを活用しましょう。
目次では、プレゼンのセクションや章立てを明示し、読者に内容の概要を提供します。扉ページでは、プレゼンのタイトルや日付、発表者の情報などを記載し、資料の一貫性と専門性を高めます。
これにより、読者はプレゼンの進行や内容を理解しやすくなり、情報の整理と伝達効果の向上に役立ちます。
プレゼン資料の設計図をつくる
考えたプレゼン構成、ページ構成、キーメッセージをもとに、資料作りの設計図となるものを用意しましょう。
これから作るプレゼン資料のどのページにどんな情報を入れていくか、大まかに決めてからパソコン作業にとりかかることで、作業を効率化し業務時間を削減できます。また他のメンバーと情報共有して、情報収集や作成作業の手分けもしやすくなります
第8章:プレゼン資料のレイアウト
資料のレイアウトは難しくない(3つの基本)
プレゼン資料はチラシやパンフレットなどのように複雑なレイアウトを組む必要はなく、むしろシンプルな配置の方が伝わりやすいので、デザインの経験がなくても難しくありません。
レイアウトの3つの基本である整列・近接・反復をおさえて、情報を整理し見やすいレイアウトを心がけましょう
具体的には、各ページのキーメッセージを上部に大きく配置して、それを補足するような内容を下部に配置してください。要素が2つ以上ある場合は近接(グルーピング)を意識してください。
情報を整列すると見やすくなる
レイアウトする上でまず初めに意識してほしいのが「整列」です。
整理されていないゴチャゴチャした情報は、読み手にストレスを与えてしまいます。テキストや画像・イラストなど、出来るだけ大きさや端を揃えて配置するようにしてください。
美しく整えられた紙面は、読み手にプロフェッショナルな印象や仕事の丁寧さを感じさせることができます。また、整理された情報は理解や検索が容易で、伝えたい事をスムーズに伝えることが出来ます。
近接(グルーピング)を意識して配置
プレゼン資料のレイアウトにおいて、情報のグルーピングを意識することは非常に重要です。
関連する情報を「近接」して配置することで、視覚的な整合性や理解しやすさを高めることができます。適切なグルーピングにより、聴衆は内容をスムーズに把握しやすくなります。
例えば、類似したデータやアイデアを近くに配置したり、セクションごとに色や形状を統一するなどの方法があります。
ページごとの図版やテキストを合わせる
プレゼン資料の各ページごとに図版やテキストのサイズ、配色、配置を合わせる「反復」を意識することも重要です。
ページごとに使っているテキストのサイズや色が異なったり、配置が微妙にずれていたりすると、情報の階層性や関連性があいまいになり、読み手にストレスを与えます。
資料全体を通して、フォントの種類やサイズ、色の使い方、図版やテキストを配置する位置、アイコンなどに一貫性を持たせて統一しましょう。
情報の見せ方を反復することによって、読み手の理解を助ける効果があります。
重要な情報を大きく配置
読み手の注意を引くために重要な情報を大きく配置することが効果的です。
大きな文字やグラフィックを使用することで、視覚的な強調効果を生み出し、読み手の目を引くことができます。
重要なポイントやキーメッセージを目立たせるために、フォントサイズや図のサイズを他の要素と比べて大きく設定しましょう。ただし、情報を詰め込みすぎずに適度なバランスを保つことも忘れずに考えましょう。
人の視線の動きに沿って配置
プレゼン資料を見るときの視線は基本的にZ字に動きます。
この動きに沿って情報を配置することで、適切な順番で情報を伝えることが出来ます。
1枚の中で最も重要な情報であるキーメッセージを上部に大きく配置するのも、まず初めに伝えたい情報だからです。2番目に伝えたい情報は左下に配置するのが自然な流れになります。
情報の優先順位を明確にして、視線の流れに沿ったレイアウトを心がけましょう。
資料やスライドの上部は視線が集まる
キーメッセージの重要性とも重複しますが、プレゼン資料の上部には視線が集まるので、聴き手(読み手)にとって、魅力的な言葉や興味関心を引くようなキーワードが入っていることが理想的です。
例えば、雑誌や新聞の紙面をパッと見た時に気になる「見出し」があれば、その本文を読み始めますが、特に気になる見出しがなければスルーしてしまうでしょう。
資料の上部に配置しているキーメッセージも、この「見出し」のような役割も担っています。視線が集まる上部に気になる言葉があれば、その下の内容にも興味関心をもって読み進めてもらえるようになります。
テキストと画像のレイアウト
テキストと画像をレイアウトする際にも視線の動きを意識してください。
文字よりも画像の方に視線が誘導されるので、画像は上部か左側に配置が基本となります。
視線は左上→右下に流れるのに、画像が右下で目立っていると視線の流れがスムーズにいかず読み手にストレスを与えてしまいます。特別な意図がない場合は、画像はテキストよりも上部か左側に配置した方が良いでしょう。
第9章:プレゼン資料のフォント
フォントはメイリオなどがおすすめ
メイリオはWindowsパソコンに標準搭載されているフォントで、読みやすさを重視してつくられています。
プレゼン資料に関する様々な書籍やブログなどでも推奨されているフォントなので、基本的に「メイリオ」を使うのがおすすめです。
もう一つ、筆者がよく使っているオススメのフォントは「創英角ゴシック」です。こちらもしっかり太めのゴシック体で、特にキーメッセージなどに大きく使うとメリハリもあり視認性が非常に高くなります。
プレゼンスライドでのフォントサイズのベストは?
スライドをスクリーンなどに映写してみせる場合は、会場の大きさや後ろの席までの距離も考慮する必要があります。
手元で見せる資料の場合ではしっかり見えるフォントサイズでも、一番後ろの席や会場の明るさなどの状況によってはかなり視認性が落ちますので、サイズを大きくしておく必要があります。
基本的には、小さな文字でも26pt以上のサイズを使っておくのをおすすめしますが、可能であればプレゼン前に自分の目で見て確認してください。
太字・色付き文字・サイズでメリハリを出す
プレゼン資料のフォントはしっかりとメリハリを出して使う事も大切です。上記の画像はメリハリがない悪い例と、メリハリを出した良い例です。
文字の太さ・色・サイズを変えることで、情報の重要度を表現してください。
例えば、重要なキーメッセージは太字のゴシック体を大きく使い、その他の文字は細めのゴシック体で小さくすることで、キーメッセージを目立たせることができます。
同じ太さとサイズの文字でも、色を変えることで重要な情報だと認識させることもできます。文章の中で特に重要な言葉のみを赤い文字などにすることでメリハリを出し、読み手に注目させ効果的に伝えましょう。
改行と行間の設定にもこだわる
プレゼン資料の読みやすさを向上させるために、文章の改行と行間の設定にもこだわってください。
単語の途中などで改行が入ると読みにくく、読み手が理解するためにストレスがかかってしまいます。また、行間も読みやすさに大きく影響を与えます。行間が詰まっていると、いまどこまで読んでいるかがわかりにくくなってしまいます。
改行は読みやすさを考慮して、文章の言い回しを工夫したり別の言葉で言い換えて、区切りの良い所で改行することを心がけましょう。
行間のおすすめ設定は、1.1〜1.3ptです。
雰囲気を出せる明朝体
明朝体フォントは、縦の線が細く、曲線的な特徴を持ちます。
そのため、落ち着いた雰囲気や伝統的な印象を与えることができます。プレゼン資料で雰囲気や品格を表現したい場合には、明朝体を活用してみましょう。
特に本文や説明文に適しており、長文を読みやすく整えることができます。ただし、小さな文字や遠くからの視認性には注意が必要です。
明朝体の適切な使用によって、プレゼン資料に独自の雰囲気を出し、読み手に印象を与えることができます。
ダウンロードできるフォント
プレゼン資料でオリジナリティを出すためには、ダウンロードできるフォントを利用しましょう。
多くのウェブサイトやフォントプラットフォームで無料または有料のフォントが提供されています。これらのフォントを活用することで、独自のスタイルや雰囲気を演出することができます。
ただし、フォントの選択には注意が必要で、読みやすさや一貫性を損なわないようにしましょう。自分のプレゼン資料に合うフォントを見つけ、個性豊かなデザインを実現しましょう。
参考 無料で使える!日本語フリーフォント投稿サイトFONT FREE
第10章:プレゼン資料の配色
メインカラーとアクセントカラーを決める
プレゼン資料の配色は、まず基本の2色であるメインカラーとアクセントカラーを決めましょう。
メインカラーはプレゼンする商品やサービスと親和性のある色、もしくは企業のロゴデザインや会社案内やWEBサイトでも使っているコーポレートカラーを使用すると、聴き手に視覚的な統一感を感じさせやすくなります。
商品やサービスに親和性のある色とは、例えば経営者に対して業務管理システムをプレゼンするなら違和感なく無難なのは濃い目のブルー系あたりになります。もしくは、幼稚園児のお母さんに対して子どもの発達を助ける健康食品のプレゼンでは全く違う色づかいになるでしょう。
アクセントカラーは、強調したい情報や重要ポイントに使う色で、メインカラーに対して目立たせるために補色に近い色を使う事が多いです。
補色とは、カラーサークル(色相環)で見た時に対極に位置する色で、青の補色なら黄、緑の補色なら赤になります。
プレゼン資料はビジネスシーンで活用することがほとんどなので、メインカラーがブルー系になる事が多いでしょう。その場合はアクセントカラーとして黄色を使うと情報をしっかり目立たせつつ落ち着いた配色になりやすいです。
配色は基本2色+無彩色、4色以内におさえる
色の過剰な使用は視覚的な混乱を招き、重要なプレゼン内容の伝達が難しくなります。特別な意図がない限りシンプルな配色を心がけましょう。
基本のメインカラーとアクセントカラーに加えて、白・黒・グレーの無彩色は使用しても問題ありません。背景の白やテキストの黒、情報を区別して分けたい時などにグレーの四角などを背景に置くなどの使い方が出来ます。
どうしても色を増やしたいという場合も、視覚的な混乱を避けるために4色までにとどめておいた方が良いと思います。
失敗しない色の使い方
使う色を増やしたい場合に、失敗しないために「濃淡を変える」方法もおすすめです。
色数を増やさずメインカラーで使っている色をそのまま濃くしたり淡くして使います。濃淡の違いを利用することで、視覚的な奥行きや重要度の表現が可能となります。重要な要素や情報は濃い色を使い、目立たせましょう。
逆に、補助的な要素や背景には淡い色を使用することで、メインコンテンツを引き立たせます。また、色の明度や彩度を微調整することで、バランスや統一感を調整することもできます。色の濃淡を使い分けることで、プレゼン資料の視覚的な魅力を高め、読み手に情報をわかりやすく伝えることができます。
第11章:オシャレなデザインのコツ
表紙のデザインが重要
プレゼン資料の表紙のデザインはプレゼンの第一印象を決めます。
初めに目にしたものの印象が強く残りやすいので、表紙のデザインにもこだわった方がプレゼンテーションの効果を高められます。
プレゼンの内容や聴き手によって、どんなイメージを持ってもらいたいかは変わってきますが、例えばオシャレさを印象付けたいのであれば、プレゼン資料の表紙もオシャレに作る必要があります。
とはいえ、デザイナーでないとデザインを作りこむのは難しいと思います。まずは、シンプルに見やすい表紙づくりを心がけることを第一にして、余裕があればデザインにもこだわってください。
画像などを使い印象的で記憶に残るプレゼンに
画像やイラストなどのビジュアル素材を使う事で、言葉だけでは表現が難しい雰囲気を表現したり、視覚的な魅力で強く印象付けることができます。
また、図解やアイコン、ピクトグラムを活用すると、複雑な概念やより多くの情報をわかりやすく伝えることができます。
ただし、画像の使い方の注意点として、情報量が多いがゆえに伝えたい事がシンプルに伝わらなくなることもあります。
下記の2つの例の左側、画像で工事中の表示をしているものはNGです。
写真は現実の状況や雰囲気を伝えるのに適していますが、上記の画像のように「工事中であることや立ち入り禁止であること」を伝えたい場合には、必要でない情報までたくさん含まれているので、大切なことが伝わりづらくなります。
例えば、写真を見た時に「若い女性みたいだけど、この工事現場で働いているのかな?」とか、余計な部分が気になったりするのでイラストの方が端的に必要な情報を伝えることに適しています。
ピクトグラムはイラストよりもさらに情報量を減らしてシンプルに伝えるために効果的です。
用途やメッセージに応じて、適切なビジュアル素材を選び、プレゼン資料の効果的な表現に活用しましょう。
6種類のビジュアル素材
プレゼン資料には、さまざまなビジュアル素材を活用することで、情報の効果的な伝達が可能です。
グラフ:数値データを分かりやすく表示し、統計情報を視覚化します。
図解:流れや関連性を分かりやすく伝えるために使用されます。
写真:実際の状況や雰囲気を伝え、視覚的なリアリティを与えます。
イラスト:写真よりも明確に伝えたい事を表現しやすく、アイデアの具現化に役立ちます。
ピクトグラム(シルエット):情報を簡潔に伝えるために使用され、情報の要点を強調します。
アイコン:情報の整理や理解をサポートし、視覚的なガイドとして機能します。
これらのビジュアル素材を上手に組み合わせることで、プレゼン資料の内容を魅力的かつ分かりやすく伝えることができます。
余白(ホワイトスペース)は広めにとる
オシャレでプロフェッショナルな印象を与えたいプレゼン資料を作るなら、余白の使い方も重要です。
適切な余白の使い方によって、資料の見た目や読みやすさを向上させることができます。余白を意識することで、情報の整理や視覚的なバランスを実現し、プレゼンテーションの質を高めることができます。
テキストや画像、図形などの要素間に適度なスペースを設けることで、情報の階層性や重要度を明確にすることができます。また、余白を使うことで視覚的な疲労を軽減し、読み手にとっての負担を減らす効果もあります。
スッキリしたフラットデザインをこころがける
プレゼン資料を作るうえで重要な、シンプルで見やすいデザインの基本は、シンプルで見やすく情報の整理がしやすいフラットデザインです。
フラットデザインの資料を作るためには、余白(ホワイトスペース)を広めにとることや、グラフィックやアイコンなどに、グラデーションや影の効果を使わずに平面的に表現することがポイントです。
また、色の使用を抑えてコントラストを意識し、一貫性のあるデザインを作りましょう。フラットデザインは視覚的なクリーンさとシンプルさを提供し、プレゼンをより魅力的に演出するのに役立ちます。
グラフは伝えたい情報を明確にする
多くの情報が混在したグラフは、どこを見ればいいのかわかりにくくなります。
そのため、重要な情報を明確にするためには、強調する必要があります。重要度の低い情報はあえて削り、視覚的な装飾をなくしてシンプルにすることで、重要な情報を際立たせます。
クリーンでシンプルなデザインが、グラフの中での重要な要素の可視性を向上させ、聴衆に情報を効果的に伝えるのに役立ちます。
プレゼン資料作成の方法まとめ
ここまでお伝えしてきたプレゼン資料作成のポイントをまとめました。
- プレゼン資料作成には、手順を踏んで進めることが重要です。第3章では具体的な手順と要点を紹介しました。
- キーメッセージを明確にし、プレゼン資料全体を通じて一貫したメッセージを伝えることが大切です。第4章でキーメッセージの重要性について学びました。
- プレゼン資料作成に際しては、いくつかの注意点に留意する必要があります。第5章でそれらのポイントを確認しました。
- プレゼン資料作成の準備をしっかりと行い、必要な情報や資料を整理しましょう。第6章で準備の重要性を説明しました。
- プレゼン資料の構成は、PREP法が一般的です。社内プレゼンでは9枚以内が推奨されます。第7章で構成のポイントを解説しました。
- プレゼン資料のレイアウトは、情報の整理や視覚的なバランスに注意しましょう。第8章でレイアウトの重要性と考え方を学びました。
- プレゼン資料のフォント選びやサイズの設定には注意が必要です。第9章ではフォントに関するアドバイスを紹介しました。
- 配色の選択はメインカラーやアクセントカラーを決めることから始めましょう。第10章で配色の基本と注意点を説明しました。
- プレゼン資料のデザインには表紙のデザインやビジュアル素材の活用が効果的です。第11章でデザインに関するコツを学びました。
これらの方法を活用して、重要なプレゼンテーションの成功や、周りから評価され喜ばれる資料作りのお役に立てたら幸いです。
プレゼン資料作成に取り組んでいる皆さん、素晴らしい成果を目指して頑張ってください!
プレゼン資料は大切な情報を伝えるためのツールであり、効果的な作成はプレゼンテーションの成功に直結します。信頼性と魅力を持つプレゼン資料を作るために、上記のノウハウを活用してください。
視覚的なレイアウトや適切なフォント、配色の選択など、細部にこだわりながら自分らしいプレゼン資料を作り上げてください。また、プレゼン資料作成の手順や構成に沿って進めることで、論理的かつ魅力的なプレゼンテーションを実現できます。
さらにプレゼン資料作成の知識を学びたい方に、オススメの1冊を紹介します。
さいごに:プレゼン資料作成は伝える力も磨く
プレゼン資料作成の仕事は、情報を調査・分析してまとめる力や、ロジックやストーリーの流れを構成する力、見やすい資料をデザインする力など、様々なスキルが複合的に求められる難易度の高い仕事だと言えるでしょう。
困難な時もあるかもしれませんが、自信を持って取り組んでください。資料作成を通じて自分のアイデアや情報を明確に伝えるための力を高めることができます。
最後に、成功を祈っています。皆さんのプレゼン資料が素晴らしい成果をもたらし、目標を達成する助けになればとても嬉しいです。頑張ってください!
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