前回の記事に引き続き、個人起業家向けに商業出版の実現へのロードマップを紹介してまいります。
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マイ・ロードマップの続き
前回の記事にてステップ1〜4までを紹介しましたので、ステップ5以降の続きです。
5. 企画書の完成
再設定したテーマで出版企画書と、プロフィールをつくっていきます。出版塾で学ぶ企画書のノウハウを詳しくお伝えすることは出来ませんが、最も重要なことだけお伝えしておきましょう。
それは、類書の調査・分析です。これから出版を考えておられる方は絶対にやっておいた方が良いと断言できます。ただ、出版社からオファーが来る場合は必要がないこともあります。なぜなら、編集者さんが徹底的に調査して企画を練りに練っているからです。
こちらから出版社へ企画を提案する場合は必須だと考えてください。当然、企画書の中にも類書をいくつか記載して、それらとの違いも明確に説明できるようにしておきます。
類書の選定の仕方にもポイントがありますが、注意点として一つだけお伝えしておくと、有名人や大物著者の本を類書として分析してもあまり意味がありません。その本は、その人が有名だから売れている可能性が高いからです。あなたが同じくらいの知名度やブランド力を持っているならば、同じくらいのヒットを狙えるかもしれませんが、きっと違いますよね。
著者プロフィールについては、サンプルとして私の資料を貼っておきますので、良かったら参考にしてください。
6. 出版社へアプローチ
企画書と著者プロフィールを用意できたら、出版社の編集者さんへアプローチをしていきます。
出版塾では、複数の出版社・編集者さんにお声をかけて企画発表会に参加してもらいます。どの出版社が参加されるかもお伝えすることができなくて残念ですが、受講生の中には他の出版塾を受講していた方もいて、お話を伺うと他の出版塾と比べてもめちゃくちゃ良い出版社さんが集まっているそうです。
前回の企画発表会は3月に開催されて、わたしは見学者として参加していました。5社5名の編集者さん(編集長も含む)が集まり、受講生が入れ替わり立ち代わりでプレゼンを行う、とても刺激的な一日でした。人によっては2社で出版が決まった方もいたり、懇親会の席では編集者さんの感想や出版に関する考え方などを直接聞けたり、わたし自身も貴重な学びを得られました。
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発表会に至るまでの講義や発表の場を活用して、自分の企画だけでなく他の人の企画に対しても真剣にフィードバックしている方が、様々な角度から企画の精度を高められているようです。
わたしの場合は、0期生だったので企画発表会は無くて、吉田さんから編集者さんに企画書とプロフィールを送って頂きました。その後しばらくして、ZOOMにて3者で話をする機会を頂き、企画内容をかなり修正しながらも出版が決まりました。
7. 執筆期間
執筆の期間は、内容と人によって変わりますが3ヵ月〜6か月くらいと言われます。
わたしの場合は約6か月で書き終えて、今年中には発売される予定で進んでおります。
プレゼンと資料作成がテーマの本なので、文章を書くだけでなく図版と資料の事例をパワーポイントで作りまくりました。読者特典としてプレゼン資料のテンプレートデータも100枚以上用意したので、相当大変な作業でしたが、念願の商業出版という目標が叶ったので、初めての執筆はほぼ常にモチベーションが高い状態で維持することができました。
執筆作業に最も力を注ぐために、早朝に起きて日課のお祈りをしたら、午前中は執筆に集中。午後は本業の実務をこなして、夜は趣味や遊びや飲み会などに時間を使わずに、出来るだけ早く寝て早く起きるというストイックな毎日でしたが、本当に楽しかったです。
わたしはもともとクリエーターなので、良い作品を創って世に出せることが大きな喜びです。その反面、人付き合いは好きでも得意でもないし、引きこもって作品を創っているのが性に合ってます。そのため、本の執筆作業は他の人と比べると向いている気がします。
これから、表紙のデザインなど様々なことを編集者さんと決めていくので楽しみです。
出版に関する反省点
ここまで出版実現のロードマップを紹介してきましたが、それらを振り返って反省点を整理しておきたいと思います。わたし自身の経験した失敗と、出版塾の受講生さんの傾向を見てまとめました。
1. 書きたい企画にこだわりすぎ
どうしても自分が書きたいことにこだわりたい場合は、商業出版のほかに自費出版という選択肢があります。自費出版の場合は自分で費用を負担するので、こだわりを実現することができるでしょう。
しかし商業出版の場合は、費用を負担するのは出版社なので、出版社に利益を残せるようにしなければ経営を続けていくことができなくなってしまいます。これを考えずに一人よがりな企画を立てても、採用される確率は極めて低くなります。
※一見すると商業出版のようでも、何千冊も買取をしているケースもあるので一概には言えません。
2. ビジネス書を読んでいない
ビジネス書の企画を立てるなら、ビジネス書を読んでおく必要があります。
読者として学ぶためというよりも、商品(本)を研究して、どのような内容や伝え方が読者に喜ばれているのかを知るために、読んでおかなければなりません。
今売れているビジネス書の読者は、自分が本を出したときの読者にもなってくれるかもしれないので、本を買う人は本からどんなことを学んでいるのかを知っている方が、読者の興味関心やレベルに合わせた企画を考えられますし、執筆の際にも活きるはずです。
3. 売れている類書を研究していない
企画で最も重要な類書の研究です。売れている類書を軸に考えると、売れる本をつくれる可能性を高められるので、自分の書きたいテーマとその周辺テーマの売れている類書から成功のポイントを探りましょう。
わたしは、本屋さんに並んでいるプレゼン資料がテーマのどの本よりも圧倒的に良いものを書きたいと思って、本気で研究し尽くして執筆しました。
4. 客観的に強みを見れていない
自分の強みを客観的に見るだけでも難しいのですが、さらにビジネス書のニーズに合っていないとあまり意味がありません。
ビジネス書の出版以外のところで力を発揮する強みが、そのまま使えることもあればそうでないこともあります。使えたとしても多少表現を変えなければ伝わりづらいこともあります。とにかく、出版に対して最適化されたものにしていかなければ、出版を実現することは難しいでしょう。
例えば、ビジネス書が得意な出版社に企画を持っていくのに、スピリチュアル系の肩書きや認定資格などはマイナスになることもあり得ます。プレゼンする相手によって内容や伝え方も変えていく必要があるのです。
次回予告:出版企画書の心構え
次回の記事は、出版企画書をつくるうえでの心構えについて紹介しようと思っています。
具体的なノウハウは書けないのですが、これまで十数名の出版企画書を見てきて、パソコンで打たれたテキストの端々から感じられる「ある心構え」が、採用される企画をつくるためのハードルになっています。
わたしたち以上に、シビアに企画書をチェックしている編集者さんには、もっと強く伝わっていると思います。今度、編集者さんとご飯でも行く機会があれば聞いてみるつもりです。
この心構えについて知っていただくと、努力の方向性を間違わなくて済みますので、ご興味がある方は次回もよろしくお願いいたします。
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