前編・中編の続きで『世界的成功者の最期』というテーマで書いているフィクションです。


第7章. おかしくなっていく組織
メンター
レベル1 | 嫌な事を避けて自分だけは気分よく過ごせている幸福。 |
レベル2 | 利己心から人より優れた人間になるために努力する。人から褒められた時や認められた時に幸福を感じるが、人間関係は葛藤だらけで大切な何かが欠けているがそれが何かはわからない。 |
レベル3 | 人を助ける事に幸福や素晴らしい気分を感じる。自分を忘れて他の人や全地球の事を考えるようになり、全体のために貢献できる自分であろうと願う。 |
レベル4 | 無条件の愛が理解できる。何を学ぶことが出来るか何を与える事が出来るかといつも考えている。自分が持っている最善、最高の愛情で応えられる。 |
あなたはどのレベルでしょうか?これを教えてくれたメンターはレベル3〜4の幸福で生きている愛の人でしたが、その当時のわたしはレベル2のあたりで、自己顕示欲を原動力に仕事の成果を上げ、周囲との人間関係がうまくいかなくなっていました・・・・。
では前回からのストーリーに引き続き、メンターの突然の死後おかしくなっていく組織の話を進めていきましょう。
メンターの死の翌々日、なにかとても違和感のある人事発表がありました。
あの元小学校の先生だった副社長の突然の解雇です。なぜこのタイミングでこのような人事が行われたのか?その違和感の謎を解明するのにしばらく時間がかかりました。
元先生はメンターが突然副社長に抜擢した言わばポッと出の人物であり、もしかすると会社の幹部連中にとって会長の思いつきや道楽の一種でいきなり自分たちのキャリアに横入りしてきた邪魔ものだったかも知れません。
愛と使命に必要な人物としてメンターから組織の副社長に抜擢された人物は、そのメンターの死とともに組織から弾き飛ばされてしまいました。組織のトップ(メンター)の息がかかっているので他の幹部連中も生前はおとなしくしていたけど、その死の前から決めていた事なのでしょう。
そしてその波紋は日本にも広がっていきます。メンターの元で日本の誰よりも近くで学び、教材の日本語訳やセミナーのファシリテーションなどもしていた日本の中心人物が、どんどんポジションを奪われてあっという間に組織を追い出されてしまいました・・・・。
世界の平和のために愛を伝え行動していたメンターの教えとは全く反対のことが、そのメンターのつくった組織で行われていきます・・・・。新しい組織の中心には自らの成功に目が眩んだエゴイストたちが占拠するようになっていきました。
第8章. 受け継いだものはなにか
世界的な成功者であり教育者のメンター、その名前は強い影響力があるいわばブランドであり商標です。そしてこれまで全世界で数多くの人が学んできた教育プログラムというコンテンツ販売の権利。この2つを手に入れたらどれだけ成功に近づけるでしょうか。
自らの成功に目がくらみ邪魔な人を排除していくエゴイストたちが成功して富や名声を得るためには最高のツールだと思いませんか?かれらは合法的に狡猾にそれらを奪っていきました、ブランドやコンテンツの使用権利は彼らに受け継がれたのです。
しかしそこにはメンターの魂は受け継がれているのでしょうか?
メンター
そして、人の心に秘めた偉大さを発揮させる魔法使いの仲間として生きていく事がメンターの願っていた事ではないでしょうか。その思いや魂からの願い、世界を平和にする使命については彼らはどう考えているのでしょうか・・・。
これはメンターの死後数年経ってから思った事ですが、おそらくはメンター自身も元々は自己実現のための手法を教えていたし、自分自身も成功して富や名声を得るために活動していた時期があったのだと思います。だからこそ全世界に事業を広げ大きな組織をつくるに至ったのでしょう。
ただそれを超えて晩年気付いたことは、いま本当に全地球の幸福にとって必要なのは自己実現や願望達成ではなく世界の平和や愛の活動に他ならないということです。しかしこれまで組織が出来あがってきた考え方は成功や自己実現や経済合理性などの価値観に支配されています。メンターの死とともに「愛から成功」へ「世界平和から自己実現」へ「社会貢献から経済合理性」と価値観が上塗りされていきます。
わたしの手元には2011年当時のメモが残っていて、それにはホームページに掲載されていたメンターの世界平和を願い日本の人たちと共に成し遂げていきたいメッセージがあります。そのメッセージは現在のホームページからは消されていて、個人の成功に役立つプログラムだという表現に書き換えられています・・・・。
想像の域は出ませんが、アメリカの国防総省や大企業に対して教育プログラムを提供していたメンターは、自分のやっている事は軍産複合体への貢献になっていて戦争を増やしてしまうかもしれない事に気付いてしまったかもしれません・・・・。
事実、メンターの教育プログラムは圧倒的に成果が上がるので、特殊部隊などにも取り入れられていたそうです。兵器をつくる大企業やグローバルメジャーと言われる世界的企業の業績をアップさせると莫大な富や名声を得る事が出来るでしょう。もしそのチャンスがあったとして、あなたならどうしますか?
第9章. ミッション
他者から何かを奪って幸福を感じている人たちの自己実現は組織や地球を蝕んでいきます。
それはメンターの伝えた事と真逆の方向性であり、いくらメンターの名前やその使用権利を語っても本当に伝えたかった事や受け継いでもらいたかった使命に心を向けなければ、魂の抜けたガラクタみたいなものです。
そんな曇った魂でコーチングをしても、クライアントと自分自身のエゴを増大させてしまっていることにすら気付きません。
そして組織やコミュニティづくりにおいて、冒頭で紹介した幸福レベル1〜2の価値観で大きな組織をつくっていくと、トップの人物だけが幸福レベル3〜4に移行しても組織のメンバーはほとんどついて来れず、今までの価値観に逆戻りしてしまうということを見せてもらいました。
遠回りのようでも幸福レベル3〜4の人たちをひとりずつ増やしていく事が、みんなが幸福なコミュニティが自然と出来る近道ではないでしょうか?。
わたしがメンターから受け継いだものは、誰もが心の内に秘めた偉大さを輝かせる力です。わたし自身はまだメンターに遠く及ばず受け継いだ力もうまく使いこなせていないのが正直な現状ですが、世界を平和にするためにその力を磨いていきます。お読み頂いた皆様、いつも関わってくださっている皆様ありがとうございます。これからもご指導よろしくお願いいたします。
世界的成功者の最期 – おわり –
*この文章はすべてフィクションです、登場する人物や出来事や情報などすべて架空のものです。
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